【昭和ヒーローのロケ地】川崎市麻生区黒川・後編
黒川駅北口~南口
黒川駅前は北口も南口も非常に静かです。
バス停は少し離れた街道沿いですし、駅前にありがちなタクシー乗り場やコンビニもありません。
観光農園での作物収穫体験の看板があったりして、田舎の駅のようです。
小田急のホームページによると「駅係員の配置時間は、7時30分から終電までです」。
そうなの!? 早朝は駅員さん、いなかったのか。
黒川~栗平には「マイコンシティ」があり、川崎市が多くのIT企業を誘致しました。
マイコンと呼称している時点で「だいぶ前のプロジェクトだな」と思いますよね。
そして2018年、マイコンシティ南黒川地区と隣接する形で、駅の北口に読売日本交響楽団の練習所が開設され、新しいシンボルとなりました。
私が住んでいたときは、北口にはマグロを出すお店など飲食店が二、三軒あったのですが、知らないうちに交響楽団になっていました。
ですから駅メロもクラシック音楽になっていて、とてもステキです。
現地で録音したのですが、ちょうど校外学習の子どもたちがいてうまく録れませんでした。
「黒川駅 駅メロ」で検索していただくと、クリアな音の動画が複数ありますので、そちらでお聴きください。
一番線/唐木田方面が『ニュルンベルクのマイスタージンガー第1幕への前奏曲』、二番線/新宿・新百合ヶ丘・千代田線方面が『メンデルスゾーンの交響曲第4番「イタリア」』です。
冬木透さんが音楽を担当した『ウルトラセブン』ゆかりの地でクラシックというのは出来過ぎた偶然です。
冬木透さんとウルトラセブン、クラシック音楽については参考になる文献が出ています。
私は以下の二冊を両方持っています。おすすめです。
『ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた』青山通 新潮文庫
https://amzn.asia/d/6ZcUBjT
『ウルトラセブン』最終回に使われた衝撃的な音楽。あの曲は何だ。誰が弾いているんだ。
当時少年だった筆者が何年もかけて正解にたどり着くまでのノンフィクションです。
『ウルトラ音楽術』冬木透 青山通 集英社インターナショナル文庫
https://amzn.asia/d/fXIcmhX
『ウルトラセブン』のためにオーダーで作られた曲の数々を冬木透さん自らが解説。
他にも宗教音楽との関わり合いなど、これまであまり知られていなかったエピソードが豊富。
黒川駅北口の交響楽団のそばは『ウルトラマンガイア』第15話「雨がやんだら」のロケ地です。
ロケは本当に偶然、当時、駅へ向かっていたときに目撃しました。
複数のタクティカルベストを着た人たちが腰をおろして休憩していて「何だろう」と思ったら、G.U.A.R.D.メンバーの方々だったのです。
おそらく劇中でディーンツを攻撃するシーンを撮っていたのでしょう。
ディーンツはマイコンシティに出現していたのですね。
ちなみに、ディーンツの名まえの由来は「ディーン・R.クーンツ」です。
一方、南口駅前には、ずっと前から広い空き地があって不思議でした。
しかし、今年に入って「フォレストモール」という商業施設が建つことが発表されました。
2024年開業予定とのことです。
これを機会に普通の駅前のようになっていくのでしょうか。
駅ホームの自販機で「梅よろし」を見つけて買いました。
「めちゃくちゃ美味しいのに、意味のわからない山の自販機にしかない」としてバズった飲みものです。
やはり黒川は山の中とみなして良いのでしょうね。
黒川駅から多摩センター方面へのトンネルです。
私が住んでいた頃には、この先は小田急永山駅だったのですが、知らない間に「はるひ野駅」(2004年開業)ができていました。
新駅を作る必要があったとは。このあたりはどんどん開けていきますね。
【昭和ヒーローのロケ地】川崎市麻生区黒川・前編
川崎市黒川青少年野外活動センター
小田急多摩線黒川駅に再度行った記録です。
前回は『仮面ライダー』(1971)のロケ地を見ましたが、今回は『ウルトラセブン』(1967)『帰ってきたウルトラマン』(1971)に出てきた「黒川分校」を訪ねます。
黒川分校とは当時の名称で、現在は建て替えられて「川崎市黒川青少年野外活動センター」となっています。
以前、黒川に住んでいたとき、自治会の集会でこのセンターを利用したことがあります。
そのときは、ここが昭和ヒーローのロケ地だなんて知りもしませんでした。
小田急小田原線に「柿生」という駅があり、その近くに柿生小学校があります。黒川分校はこの小学校の分校という位置付けで、もともとは明治時代に始まった「市川塾」が学制施行により「黒川学舎」となったのだそうです。とても長い歴史のある学校です。
ちょうど『ウルトラゼブン』の放映が始まった1967年に、上級生は柿生小学校に通うことになり、黒川分校には一年生から三年生までが残って学んでいました。
黒川周辺の宅地開発が進み、黒川駅と隣の栗平駅の間に小学校ができたことから、黒川分校は1983年に閉校となります。
その跡に建てられたのが、川崎市黒川青少年野外活動センターでした。
建物は変わりましたが、校庭部分にある鉄棒などは『ウルトラセブン』当時と同じです。
『ウルトラセブン』第42話「ノンマルトの使者」に登場した黒川分校。
本編では海岸や港町の風景と組み合わせて「海辺の小学校」に見せていますが、本当は多摩丘陵に連なる山の中だったのです。
映像のマジックです。
印象深いお話だったので、この小学校のシーンもよく覚えていました。
また、大人になって見返すまで、二瓶正也さんが出ていることにまったく気付きませんでした。イデ隊員大好きなのに、どうした自分。
『帰ってきたウルトラマン』第25話「ふるさと地球を去る」に出てきた階段。
黒川駅から分校跡に行くと、バス通りからスロープで上がって行くことになります。
この階段はその反対側。
黒川隣の栗平駅の方からくると、階段があります。
階段そばのバス停に黒川分校の名が残っています。
「ふるさと地球を去る」は、当時あまり好きではなかったので小学校のシーンも覚えておらず、後になって文献でロケ地のことを知りました。
なぜ好きでなかったかというと、いつも穏やかで包容力に富む南隊員の暗い過去話は知りたくなかったからです。南隊員が好きだからこそ、子ども心にちょっとイヤだった。
入隊当初しょちゅう岸田隊員と対立していた郷さん、南隊員がとりなしてくれなかったら早々にMATを辞めていたと思うんですよ。
その意味で南隊員は理想のお兄さんキャラでした。
それと「ふるさと地球を去る」というサブタイトルが難解です。
一体誰の視点でつけられたサブタイなのか。本編を見てもいまひとつピンときません。
ここまで黒川駅南口方面を見てきましたが、駅の向こう、北口の方にもロケ地があるのです。
後編に続きます。
【昭和ヒーローのロケ地】新宿の目
新宿にやって来ました。
電車の乗り換えのためですが、少し時間があったので「新宿といえば『目』でしょ」と思い、スバルビルを訪ねることにしました。
ロケバスの集合場所としても有名なビルですね。
ちょっと前にニュースで「スバルビルがなくなる」と聞いたおぼえがありました。
なくなってるのかな。だったら「新宿の目」もないのかな。
でも「新宿の目」消滅となったら、大騒ぎになるはず。
そんなニュースは聞かないので、大丈夫だろうと思って新宿駅西口へ。
コロナ前までは、新宿によく来ていました。
しかしゴジラ・ストアのあるマルイアネックスや映画館バルト9など、用のあるのは東口の方ばかり。
西口。何年ぶりだろう。
「目」の場所の在処もあやふやになっています。
駅の案内板を見ても、既にスバルビルがないので、よくわかりません。
「確かこっちだったはず」
方向音痴が意を決して猛暑の中を突き進むと。
ありました!
目!
目!
スバルビルの名はまだ残っています。
作者・宮下芳子さんの銘。
美しい光彩の目頭が魅力のひとつ。
映像にとらえられた「目」でいちばん印象的なのは『帰ってきたウルトラマン』第47話「狙われた女」です。
MATの丘ユリ子隊員がフィーチャーされた唯一のエピソード。
それが全51話中の47話。終盤も終盤になってやっと、それもかなり暗い話。
休暇という名の謹慎処分になった丘隊員が「新宿の目」をバックにたたずむ映像を鮮烈に覚えています。
丘隊員、ウルトラシリーズの女性出演者の中では目立たない方かもしれません。
私は好きで……子どもの頃はその魅力を言語化できないまま見ていました。
あとになって思うと、坂田アキがかわいい系だったのに対し、大人のキャリアウーマンだった丘隊員を「良い」と感じていたのでしょう。クールビューティーという言葉も知らなかったですが、丘隊員にはあてはまっていましたよね。
初期のロングヘアーよりは後半でのショートの方が似合っていたとも思います。
当時の「ナウなヤング」はあんな髪型をしていたような。
「狙われた女」でのファッションやアンニュイな雰囲気は、アート系の映画のようで、とにかく印象に残りました。
「新宿の目」は小田急電鉄が所有しているのですね。
当面、撤去の予定はないそうです。
ここは地下ですが、ロータリーに屋根がないので日の光も入り、イメージとしては地上一階といった感じです。
ロータリーを見ていて気付いたのですが、ここは『マグマ大使』でカニックスが大暴れしたり、ゴレンジャーの基地があったりしたところですね。
ゴレンジャーのスナック・ゴンを捜しに、また来なくては。
キレンジャーを思い出したので、西口のCoCo壱番屋でレトルトカレーを買って帰りました。
これは『光速エスパー』(1967~1968)第18話『宇宙人破壊部隊』の予告編での新宿空撮です。
手前が小田急百貨店。その後ろがスバルビル。
めちゃめちゃ空き地がありますね。新宿ですよ? びっくりです。
【昭和ヒーローのロケ地】汁守神社
小田急多摩線黒川駅
小田急多摩線黒川駅にやって来ました。
小田急の多摩線と小田原線とは、新百合ヶ丘駅で分かれます。
多摩線は小田急多摩センターを経て唐木田まで、小田原線は小田原まで行きます。
小田原から箱根登山線を経て、終点が箱根湯本です。
まだ春先のことでした。
新百合ヶ丘駅改札前のスーパー『小田急OX』の地産地消コーナーでとてもおいしい卵を買いました。
「この辺に養鶏所があるのか」と思って調べていると、黒川駅に『セレサモス麻生』なる野菜直売所のあることがわかりました。
黒川には、上京してからしばらく住んだことがあります。
そのときにはセレサモスなんてなかった……。
久しぶりに黒川に行ってみることにしました。
駅前です。
南口には、ログハウスのシェアオフィス的な施設ができていました。
『ネスティングパーク黒川』というそうです。
南口から徒歩10分弱で『セレサモス麻生』ですが、その前に……
セレサモスのはす向かいにある神社!
実は今日の本命はこちら。
汁守神社です。
汁守神社
汁守神社は『仮面ライダー』(1971-)に映っているんですよね。
その他、東映生田スタジオの作品には何度も登場しています。
私がはっきり覚えているのは『仮面ライダー』で高野浩幸が出た回です。
調べてみると第49話『人喰い怪人イソギンチャック』であることがわかりました。
仮面ライダー新1号登場前の、ダブルライダー期の回です。
現在の神社は、あまり人の手が入っていない感じです。
手水舎に水はなく、社務所はありますが普段は無人のようです。
まったく人気のない境内で参拝をします。
黒川に住んでいたときにも参拝したことはあるのですが、ライダーのロケ地であると知ったのは、ずっと後のことでした。
とても急で狭い石段。
ここを素早い身のこなしで駆ける滝和也の身体能力たるや!
この神社は、府中の大國魂神社と関係があります。
大國魂神社の有名な「くらやみ祭」で、膳部の汁物を担当したのが起こりであると伝えられています。
黒川に近い町田市真光寺町には飯守神社があり、こちらが献饌の儀の御飯を担当したといいます。
そして、真光寺の近くは、昭和特撮で印象深い「お化けマンション」があった場所です。
境内を隅々まで歩いてみた後、セレサモスへ。
混んでいます。
駐車場への車の出入りもひっきりなし。
15時で閉店なので、皆さん出足が早いのです。
野菜だけでなく、調味料、卵、焼き菓子など、地元のものがいろいろあります。
足柄の牛乳や湘南オレンジのジャムも。
植物の苗や多肉の鉢もありました。
ここでサボテンが売られていると「メキシコの花か」と疑ってしまいますね。
黒川はこれだけでは終わりません。
他にも判明しているロケ地があと二ヶ所あります。
なので、また来ます!
(文中敬称略)
【昭和ヒーローのロケ地】旧多摩聖蹟記念館
旧多摩聖蹟記念館へ
小田急多摩線永山駅にやってきました。
すぐ隣には京王永山駅があります。
今日はここから旧多摩聖蹟記念館を目指します。
旧多摩聖蹟記念館?
名まえを聞いただけではピンとこなくても、建物の姿を見れば「あそこか!」となりますよ。
昭和のヒーローが好きな人にとっては「親の顔より見た」(←過剰なデフォルメ表現)建物です。
以前にも一度行こうとしたのですが、バス乗り場が複雑でよくわからず断念したのです。
今回はちゃんと調べてきたから大丈夫!
……のはずが。
聖蹟桜ケ丘駅行のバスに乗ったら、記念館のある公園は通らず、すぐに終点・聖蹟桜ケ丘駅に着いてしまいました。
なぜだ。
仕方がないので駅の交番で訊き、バスターミナルの係員さんにも訊き。
やっと都立桜ケ丘公園経由のバス路線に行き着きました。
正しいバスに乗り、聖蹟桜ケ丘駅のターミナルから出発。
街道から山道に入り、坂を上って。
15分ほどで「記念館前」のバス停に着きました。
都立桜ケ丘公園
バス停そばの道は「記念館通り」。
このあたりの住所は「連光寺」です。
やっと! 公園にたどり着くことができました。
まずは見晴らし台から奥多摩の方を眺めます。
公園内の通路を案内に沿って進むと……
見えました!
これは建物の裏です。
旧多摩聖蹟記念館
こちらが玄関側です。
どうですか? 『仮面ライダー』『人造人間キカイダー』など、70年代の東映作品でよく見ましたよね。
最初に見た感想は「こんなに黄色かったっけ?」でした。
しかし、我々が映像で見知っているのは約50年も前のこと。
改修されているので、色が違っていても不思議はありません。
ここにライダーが! 滝和也が! 居たと思うと感動もひとしおです。
建物は地上一階。
この円柱の上でヒーローと敵が戦っていて、それを斜め上から撮った映像の印象が強いので、二階建て以上だと思っていました。
誤解でしたね。
内部は撮影禁止なので写真はありません。
一階建てといえどもかなり天井が高く、館内には明治天皇騎馬等身像があります。
明治天皇は30代の頃、このあたりで兎狩りなどをされたそうで、行幸を記念して建てられたのがこの館です。
中に入りたい場合は、開館時間を確かめてから行きましょう。
開館:10時~16時。
毎週月曜日と水曜日が休館です。
臨時休館もありますので、多摩市のホームページで開館カレンダーを見ると良いです。
それにしても、こんな歴史的な建物でよくロケをさせてくれたものです。
当日は定例の自然観察会が開かれていたので、普段より人出が多かったのではないかと思われます。
それでも公園内は静かです。
帰りもバスに乗って多摩丘陵のアップダウンを味わいました。
要注意な永山駅バス乗り場
永山駅に戻ってきました。
注意が必要なのは、どの乗り場からバスに乗るかです。
ざっくりした案内に従うと、記念館前のバス停を通るのは「聖蹟桜ケ丘駅行」です。
小田急、京王の永山駅改札を出ると、ほんの少し直進した先に短い階段があり、下りたところにバス停が見えています。
そこに行くと大きな看板があって、
このように書いてあります。
なので、私はこれに従って6番乗り場から乗ってしまったのです。
それが間違いの元。
正しくはこの看板に惑わされずに、
2番乗り場で【桜06】「聖蹟桜ヶ丘駅」行に乗ってください。
そうすれば15分ほどで「記念館前」に行けます。
聖蹟桜ヶ丘駅から乗る場合も同じ【桜06】「永山駅」行です。
(2023年6月現在)
さて、このあたりには昔住んでいたことがあり、買い物といえば駅ビル「グリナード永山」にきていました。
初めて携帯電話というものを契約したのは、永山でだったのです。思い出深い。
まだレンタルビデオが盛んな頃で、駅前の大きなTSUTAYAにもお世話になっていました。
久々に見ると店もずいぶん入れ替わっていて、よく寄った本屋さんはなくなっていました。
時分時だったので「リンガーハット」に寄り、夏メニューなのかな、「からまろ」を食べて帰りました。
そんなに辛くはなかったです。